2012年10月10日水曜日

第21回例会終了!

ちょうど10年を迎えることになった第21回例会を無事終えることができました。多くの人たちに支えられて今日まで持続するに至りました。ここで、ご協力いただいたみなさまに深い感謝の意を表したいと思います。

今回は日本の民俗音楽およびポピュラー音楽に関する演題で、どちらも本研究会史上初のテーマで非常に興味深い世界が開かれました。

自分の興味をとことん追求しておられ、止むに止まれぬ演者の情熱が伝わってくる発表でした。フロアーとの相互コミュニケーションも活発な非常に質の高いプレゼンを提供していただいた川崎、川本両氏に研究会として心からの感謝の言葉を贈らせていただきます。

川崎瑞穂氏の発表は、民衆の異文化に対する反応を、幕末明治初期の洋楽受容に例を取り、レヴィ=ストロースの「器用仕事(ブリコラージュ)」という概念を用いて論じたものでした。具体的には日本人が初めて聞いたであろう西洋人の軍楽隊というものが、古来からの「お練り」の行列と結びついて、「おらんだ楽隊」のように民衆レベルで取り込まれたのではないか、という話でした。川崎氏自身による笛の演奏で旋律の例示がありました。

川本聡胤氏は、プログレッシブロックの代表作であるELPの《タルカス》が、いかに従来のロックの概念から外れているのかに着目し、その中に隠されたクラシックの影響を、異なる別のものが混じる際に、配合具合によって非常に違うものになる、という「間テキスト性の分析」という観点から論じたものでした。

当初、全く違うものかと思われた2題の演題でしたが、実は二つのものの混じりあいという共通のことを扱っており、演者同士もびっくりしておられました。

最後に、本研究会名物”ガチンコ対決”としましてELP《タルカス》の分析を見上が末席を汚させていただきました。一見するとロックだなあ、としか聞こえなかったこの曲が、さまざまな5音音階や教会旋法、美しい”五度の滝”などの反復進行の多用によって構成されていることが明らかになりました。

参加者は19名。設立当初より我々の研究を暖かく見守っていただいている島岡譲先生、楠瀬敏則先生をまじえ、13名が懇親会に参加し、途中席替えなどしながら、21時近くまで話が盛り上がりました。

以上、とりあえず簡単に例会の報告を終えます。

2012年10月3日水曜日

続報・日本音楽理論研究会第21回例会(10月7日)のお知らせ

第21回例会(10月7日)当日の時間配分、内容変更、ネット情報のご紹介をお知らせいたします。

★★★ 時間配分と内容変更
■ 13:30-14:30 「洋楽渡来と野生の思考(パンセ・ソバージュ) ―洋楽流入期における民俗的思考に関する構造人類学的研究―」 川崎瑞穂
■ 14:30-14:40 質疑応答
■ 14:40-15:00 休憩
■ 15:00-17:40 「プログレッシヴ・ロックの研究 ~ELP《タルカス》の分析~」 川本聡胤 (以下の時間配分は未定です。)
1.主発表者の発表
2.ガチンコ対決 「ELP《タルカス》をクラシック風に分析すると?」 見上潤
3.質疑応答を含むディスカッション

★★★ ネット情報のご紹介
今回とりあげる作品はこれまでの日本音楽理論研究会でなじみのないものなので、ネット上の情報を紹介させていただきます。
これによって当日のディスカッションが盛り上がることを願っております。
なお、最新の情報は以下のブログで公開しておりますので、ご確認ください。
http://smtjt.blogspot.com/
また、facebookに参加しておられる方は以下の日本音楽理論研究会facebookにもご参加ください。
http://www.facebook.com/groups/205456326182727/

★★ 《タルカス》についてのリンク紹介
★ 1. 音源: 非常に人気のある作品なのか、極めて多くの演奏・アレンジが存在します。そのうちほんの一部を紹介します。その他はリンクをたどって探してみてください。
1.1. フルヴァージョン: LPのA面、B面が入っている。第21回例会の分析対象はA面(最初の21分まで)のみ。
http://www.youtube.com/watch?v=2TACC1z7hcA&feature=related
1.2. 吉松隆のオーケストラ・アレンジ(ライブ): クラシック畑の人にはこちらのほうが聞きやすいかもしれません。これを聞くとブラスへのアレンジも合うと思う。
http://www.youtube.com/watch?v=81JaE2SDWe0
1.3. 吉松隆のオーケストラ・アレンジ(ライブ): TV収録版。
http://www.youtube.com/watch?v=eFz9XceS8TQ&feature=related
1.4. ピアノ・ソロ版: バロック風のインプロヴィゼーションもあったりで、かなりオリジナルな演奏。 
http://www.youtube.com/watch?v=HrXuvkj5Vi0&feature=related
1.5. EL&P TARKUS(1972.07.22 後楽園球場): 日本でも流行した当時の雰囲気が伝わってきます。
http://www.youtube.com/watch?v=2kq0rwgr0Ss&feature=fvwrel
★ 2. 楽譜: 当日発表資料として部分的に配布しますが、全曲を入手したい場合は以下からダウンロードしてください。
2.1. ピアノ・アレンジ楽譜(ドイツ語版ウィキペディアより): Klaviertranskription von Tarkus (PDF-Datei; 27,61 MB) ※ [Weblinks] [Note]にB面の曲の楽譜もあります。
http://www.exobit.org/~boo/ELP-DISC/Tarkus.pdf
★ 3. 歌詞: 非常に哲学的な内容も読み取れます。時代背景を前提としながら読むと考えさせられます。
3.1. プログレッシヴ・ロックの歌詞の対訳と非常に詳しい解説に限定したサイト。
http://proglyrics.blogspot.jp/2011/11/blog-post.html
★ 4. 解説:
4.1. ウィキペディア日本語版: 基本的情報はここから得られます。キース・エマーソンのトレード・マーク的な和音であり ELPっぽい音を狙ったとされる”ド・ファ・ソ・シb・ミb のコード”とは何かが今回のポイントのひとつになるかもしれません。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BF%E3%83%AB%E3%82%AB%E3%82%B9
4.2. ウィキペディアドイツ語版: 他の言語版に比較して異様に詳しく、譜例入りの簡単な分析も入っている。楽譜のみならず映像のリンクも多数あり。現在翻訳作成中。
http://de.wikipedia.org/wiki/Tarkus

★★ 非常に簡単にですが、「おらんだ楽隊」についてのリンクもご紹介いたします。
★ 音源: 以下のYouTubeからご覧ください。
http://www.youtube.com/results?search_query=%e3%81%8a%e3%82%89%e3%82%93%e3%81%a0%e6%a5%bd%e9%9a%8a&utm_source=googletb

★★★ 日本音楽理論研究会第21回例会のお知らせ ★★★
日時: 2012年10月7日(日)13:30-17:40 (13:10 受付開始)
会場: 国立音楽大学AI(アイ)スタジオ (JR国立駅南口下車、国立音楽大学付属幼稚園地下) 
〒186-0004 東京都国立市中1-8-25 TEL: 042-573-5633
参加費: 一般¥2000/学生¥1000 
■ 「洋楽渡来と野生の思考(パンセ・ソバージュ) ―洋楽流入期における民俗的思考に関する構造人類学的研究―」 川崎瑞穂 
■ 「プログレッシヴ・ロックの研究 ~ELP《タルカス》の分析~」 川本聡胤
Secretariat of THE SOCIETY FOR MUSIC THEORY OF JAPAN
日本音楽理論研究会事務局(本部)
ホームページ:http://sound.jp/mtsj/
〒870-0833 大分市上野丘東1-11 大分県立芸術文化短期大学音楽科 小川研究室気付 
TEL &FAX 097-545-4429
Email: ogawa@oita-pjc.ac.jp
本部facebook: http://www.facebook.com/groups/205456326182727/
Tokyo branch of THE SOCIETY FOR MUSIC THEORY OF JAPAN
日本音楽理論研究会東京支部 (見上潤 Mikami Jun)
ブログ: The Society For Music Theory Of Japan, Tokyo http://smtjt.blogspot.com/
ホームページ: http://www.geocities.jp/dolcecanto2003jp/SMTJ/index.htm