2013年3月31日日曜日

第12回東京例会発表概要 寺内克久

 来る2013年3月31日(日)に行なわれる日本音楽理論研究会第12回東京例会で発表する、寺内克久氏の発表概要を掲載いたします。

「《Autumn Leaves》(1950) のアレンジバリエーションにみるジャズ表現の可能性」 寺内克久

 1945年、フランスの振付家であるローラン・プティ(Roland Petit, 1924-2011) が手がけたバレエ《Le Rendez-vous》(1945)の伴奏音楽として作曲家ジョセフ・コスマ(Joseph Kosma, 1905-1969) が作ったこのメロディは、やがてマルセル・カルネ監督(Marcel Carné, 1906-1996)の映画『夜の門』(Les Portes de la Nuit, 1946) にて《Les Feuilles mortes》(フランス語:《枯葉》)となり、以後シャンソンの歌手による数々のカバーが生まれた。1950年、アメリカでジョニー・マーサー(Jonny Mercer, 1909-1976)によって英詩《Autumn Leaves》(英語:《枯葉》)が世に発表され、その後ジャズ・ポピュラーの世界に広く知れ渡るスタンダードナンバーとなった。 本発表は、この《枯葉》をテーマにしたジャズのハーモナイズ(和声付け)の様々なバリエーションを考察する。

 古今のジャズ演奏者たちは与えられたテーマをもとに、リズム、和声、旋律、楽器編成等を駆使して、音楽表現の可能性を豊かに拡張してきた。ジャズの歴史で数々生まれた《枯葉》の名演奏は、それぞれがいまだに大きな魅力を放っている。

 本発表前半ではスタン・ゲッツ(Stan Getz, 1927-1991)、ビル・エヴァンス(Bill Evans, 1929-1980)、マッコイ・タイナー(McCoy Tyner, 1938- )、ロン・カーター(Ron Carter, 1937- )、チック・コリア(Chick Corea, 1941- )ら、ジャズの巨匠達の《枯葉》のハーモナイズを分析する。

 後半では、発表者による編曲の事例を通して、和声を「響きの固まり」として、自由に和声連鎖を作る「不定調性和声連鎖」というハーモナイズの試みについても考察する。

 本発表で分析するジャズ和声やハーモナイズに関して、クラシック音楽の分析法の側からの提言をいただければ幸いである。

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